先日読んだ「DIE WITH ZERO」で長寿年金というものを知りました。
長寿年金の仕組みはこうだ。長寿年金を買うと、掛け金はすべて保険会社のものになる。たとえば、 60 歳の時点で 50 万ドルの長寿年金を購入したとする。 50 万ドルはこの時点ですべて保険会社が所有することになる。その見返りとして、あなたは残りの人生の月々の支払いが保証される。
「DIE WITH ZERO」ビル・パーキンス著
本の中ではこう紹介されていましたが、日本でも同じような商品があるのか調べてみました。
長寿年金(トンチン年金)とは?
長寿年金は別名「トンチン年金」と言われているようです。
「トンチン」ってなんやねんと思いますが、考案者の名前(ロレンツォ・トンティ:17世紀のイタリアの銀行家)が由来だそうです。
トンチン年金は、加入者が支払った掛け金を原資として年金を支給するのですが、早く亡くなった方の残高はそのまま残り、その分を生きているほかの加入者の年金原資に回すというもの。
つまり、生きている限りは支給を受け続けることができ、長生きするほど得をする年金保険です。
保険会社としては、長生きする人もいれば早死にする人もいるので、トータルで見ると損はしない設計にできるわけです。
日本に長寿年金はある?
日本では全く同じ仕組みではなく、「払込期間中の死亡保障無し・解約返戻金を低く設定」とトンチン性を高めた商品が主流のようです。
以下の商品が見つかりました。
何歳まで生きれば元が取れるか?
長生きするほど得をするといっても、一体何歳まで生きれば元が取れるのでしょうか?
最新のデータではないですが、シミュレーションした記事がいくつかありました。
それによると、男性の場合で80代後半〜90代前半まで生きて元が取れるようです。(女性の場合はもっと高齢)
インフレも考慮すると90代半ばまでは生きないと元は取れなさそうですね。
元が取れるかで考えるべきではない
元が取れるかを考えるとなかなか厳しそうですが、そもそもの目的はそこではないですよね。
長寿リスクをヘッジするものであって、死ぬまで一定額の支給が保障されることに意味があります。
DIE WITH ZEROの考えでいくと、一定額の支給が保障されているので、貯蓄を残すことを考える必要がなく全部使い果たすことができるってことですね。
しかし、トンチン年金で老後の生活費を賄うとしたらかなり額を積み立てなければなりません。
と言うか、そもそもトンチン年金は老後の生活費を賄うものではなく、公的年金で不足する分を補うものなんですね。
そう、日本には死ぬまで一定額の支給が保障さる公的年金(国民年金・厚生年金)があります。
まずは、公的年金でいくら支給されるのかを調べ、不足分をトンチン年金などでカバーすべきなんですよね。
完全に順番は逆でしたが、公的年金で一体いくらもらえるのかを調べることにしました。
国民年金・厚生年金の存在を忘れていました(笑)。あんなに払っているのに…
公的年金はいくらもらえるのか?
年金の支給額見込みは「ねんきんネット」で調べることができます。
年収や退職年齢、支給開始年齢などいろいろ変えてシミュレーションできます。
- 収入は現状のまま
- 60歳定年
上記の条件で試算してみました。収入はまだ上がるでしょうし、定年も伸びる可能性が高いので安全サイドでの試算です。
65歳支給開始:月194,000円
まずは、通常の支給パターン。年額2,332,480円で、月額にすると約194,000円になります。思ったほど悪くないですね。
70歳支給開始:月239,000円
支給開始を遅らせると割増した年金を受け取ることができます。70歳からの支給にしてみました。
そうすると、年額は2,867,487円になり、月額は約239,000円でした。これなら十分そうですね。
あくまで現時点の試算です。支給開始年齢はいずれ引き上げられるでしょうし。
結論
将来的には支給額の減額や支給開始年齢の引き上げなど不確定な要素は多いですが、「公的年金だけで十分、長寿年金(トンチン年金)不要」が現時点の個人的な結論です。
そもそも、トンチン年金のほとんどは加入対象が50歳以降なので、現時点で調べるのは早すぎましたね。
トンチン年金に頼るよりは、年金の支給開始を繰り上げて割増する方が現実的でリーズナブルな気がします。
支給開始までに資産は使い切り、支給開始後は年金のみで生活するイメージですね。そのためにベストな支給開始年齢を模索するって感じですかね。
あとは、年金制度が崩壊しないことを願うばかりです!
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